福祉教育とボランティア活動
1.福祉教育と地域のネットワーク
2.学童・生徒のボランティア活動の13分野
3.福祉教育への今日的な期待
4.福祉教育とボランティア活動
5.学校における福祉教育への期待
福祉教育は、福祉と教育が連携・協働してはじめて可能となる取り組みです。それぞれの専門分野を尊重し、互いに影響しあいながら双方の目的を合致させていくことが必要です。
福祉教育を推進するための連絡調整も情報交換をする場として、全道的に各地城で開催されている「福祉教育懇談会」があります。学校、教育委員会、行政、社会福祉協議会、福祉施設、教育施設、各種団体、ホランテイアなどの参加により、子どもたちの活動が支えられ、地域の方々の関心を高め、大きな地域のネットワークづくりの一歩としましよう。
@地域ぐるみの取り組み
地域には人材、組織、施設、制度、資金など多様な社会資源があります。これらを積極
的に活用しながら、福祉教育を展開することが大切です。
そのためには、地域社会の特性をはじめ、福祉の現状、社会資源の存在について把握し
ておくことが必要です。そのためには社会福祉協議会ボランテイアセンタ一などと連携を
図ることが考えられます。
A家庭における福祉教育
福祉教育について家庭の理解と参加を図ることが大切で、連けいを持ちたいのはPTA
組織です。PTAが福祉教育の重要性と役割について理解を深めることで、多くの親子が
ボランティア体験を共有化することが期待できます。
B福祉の数育の団体、施設、機関との連携
地域には様々な社会資源があります。たとえば、町内会、自治会、老人クラブ、社会教
育団体、ボランティアグループ、青年会議所、NPOなどです。
これらの連携を図る方法としては、それぞれの年間事業計画に福祉教育のプログラムを織り込んでもらうなどの連けいが考えられます。
1.あつめる・つのる(収集・募金活動)
使用済み切手、ベルマーク、ロータスク一ポン、書き損じはがき、図書、衣料、文房具、カレンダー、アルミ缶、テレ力等、赤い羽根共同募金、歳末助け合い募金、緑の羽根募金、ユニセフやユネスコへの寄付
※集めた物やお金がどのように使われているのかをしっかり知らせることか大切です。どうしても、量を問題にしてしまいますが、活動の質を高める努力をして下さい。
2.つくる(製作・創作活動)
活字書を点字に訳す、広報紙を録音テープに吹き込む、弱視の人のために活字書の文字を大きく拡大して写本する、手で触ってわかる絵本を作る、身体の不自由な子どものための玩具や遊具の考案、ゲームやレクリエーションの考案、障害をもった方の補助具の考案、寝たきりの方に贈るオムツやプレゼント等の小物づくり、地域に配市する版画カレンダーの作製
3.ふれあう(友愛訪問・交流活動)
寝たきりの方のいる家庭を訪問して話し相手や相談相手となる、身体の不自由な子どもの遊び相手、読み聞かせの活動、手紙の交換、お世話になった方々への礼状の送付
※訪問先との信頼関係をつくることが大切です。地域と結び付き、差別や偏見を取り除く努力の過程はボランティア学習そのものです。
4.てつだう(サービス活動)
福祉施設でのワークキャンプ、一人暮らしの老人への給食サービス、除雪ボランティア、専門技術を活かした活動、特別養護老人ホームでのオムツたたみ、地域のイベントの手伝い
※児童・生徒が自分自身を、地域を支える一員であると自覚できればすばらしいボランティア学習となります。
5.ひろめる(啓発・啓蒙活動)
講演会、映画会、展示会、ボランティア活動の体験発表会、全校集会「汗と心のつどい」、ボランティア活動の情報を地域や家庭に伝える通信の発行
※難しく考えないで子どもたちの声を率直に地域に伝えたいものです。
6.しらべる(調査・研究活動)
地域の遊び場や危険な箇所の点検、公害に関する調査活動、自然の動植物についての観察・調査活動
※自分たちの身体を使つて「福祉の問題に気づく」大切なボランティア学習となります。
7.ととのえる(地域環境整備活動)
地域の清掃活動、花いっぱい運動、交通安全を呼びかける標語・ポスターづくり、自然や動植物の保護に取り組む活動
※学童・生徒に「生命の問題」を投げかけ、自分も地球人の一人というグローバルな意識を育んでいくことが活動に深みを持たせます。
8.まなぶ(学習活動)
手話、点字、朗読、介助活動のため必要な技術(例えば車イスの取扱い)、目の不自由な方のガイド
※ただ技術を学ぶのではなく、そこからハンディをもった人たちについて考えることが目的です。また、学習を継続して進める中で、地域のボランティア実践者やハンディをもつている人たちとのネット(関係)がつくられていきます。
9.つたえる(文化伝承活動)
竹トンボ等昔からの遊びや行事・芸能活動などを体験する、郷土史の学習、博物館や史跡を案内するガイドボランティアの活動
※歴史の流れの中での、人の生き方や考え方、生活の仕方などを体験的に学ぶことは、ボランティア学習に他なりません。
10.たのしむ(体育・レクリエーション活動)
※地域のクラブや少年団、子ども会などで、リーダ一や補佐として参加・協力する活動です。
11.まもる・ふせぐ(生活改善・保健衛生・医療看護の活動)
食生活を考える、食品公害や自然食について考える、飢餓と飽食について考える、ごみの問題について考える、環境汚染の問題について考える、救急法の学習、家庭看護の学習、蘇生法の学習、献皿活動
12.なかよくする(国際協力・国際理解活動)
地域単位での海外交流、外国の方のホームスティ受入れ
※文化を理解し、人を理解するということは大変なことですが、ボランティア学習の大きな目的でもあります。
13.まねく(学校行事への招待活動)
運動会や学芸会等の学校行事に地域の方々を招待
※施設や地域のお年寄りを招待する場合には、手紙の活動と合わせて継続的に行うと学習の効果があがります。
戦後の日本の社会は様々な変遷を遂げてきました。その中で、「社会福祉」への国民の関心は高まってきています。
その背景として、
などの課題が指摘されています。その解決の手立てとして、ますます「福祉教育」の果たすべき役割が重要視され、その期待は大きなものとなってきています。
ボランティア活動は、その活動を通して様々な社会生活上の課題を発見したり、社会的役割を自覚したりしていく中で自立心や社会性を育み、よりよき社会人として自己実現をしていく体験学習です。ですから、ボランティア活動は福祉教育の目的を達成するための実践活動、体験活動の場ととらえることができます。
また、福祉教育により自己の変容がなされ、ボランティア活動が習慣として取組まれるようになれば、それは福祉教育の到達点の姿としてとらえることができます。
その意味では、ボランティア活動の展開は、福祉教育のねらいを達成するための手段でもあり、目的でもあると言えます。
昭和52年、厚生省は「学童・.生徒のボランティア活動普及事業」をスタートさせ、学校教育の中での「福祉」の学習を、初めて全国的な事業として展開しました。そして、福祉教育の具体的な取り組みについては、文部省に対し「福祉教育のあり方について」という要望書を提出しています。
また、昭和62年度の「厚生白書」では「福祉マインドの醸成」をうたい、字校における福祉教育の発展を重要な施策課題としています。
一方、文部省では「教育課程審議会」の答申を受け、学習指導要領を改訂し、それにともない、平成4年度より特別活動の学校行事において、学童・生徒の「体験学習」が学校教育活動として位置付けられ、小学校から順次計画実践されました。
このように、厚生省も文部省も福祉教育を共通課題として、特に学校における福祉教育の実践を行政施策として奨励しています。
学童・生徒の福祉に関する理解と関心を促すことは、家族、地域社会全体の福祉への関心の高まりにもつながります。学校を核とした福祉の風土づくりには今後ますます大きな期待が寄せられることでしょう。