(1)施設の方針

 

 施設の方針として、人材育成を掲げることに至った経緯についてお聞かせください。

 

 私ども法人の基本理念に「利用者本位」の立場で仕事をすることを謳っています。
しかし、この実践は容易でないことを経験のなかから知っておりますので、そのためにはどうするべきかかという問いかけからスタートしました。
 その目標達成のために考課制度と研修制度を連携する仕組みを充実させ利用者のQOLの向上に貢献したいということであります。

 

(2)人事育成の取り組み方針

 

 昭和30年頃から、法人格を取得して障害者支援を行っていますが、研修制度を通じての人材育成の取り組みというのは、いつ頃から、どのような経緯で始まったのですか。

 

 私どもの事業認可は昭和24年でろうあ児施設として聴覚障害のある児童を対象にして取り組んでおりました。その後、昭和48年に児童養護施設を開設し2施設で運営する時代がしばらく続いておりましたが、支援費制度、障害者自立支援法施行の過程を経て法人が経営する事業所が増え、現在のように7事業所で16事業を展開することになりますと、支援する利用者、職員も増加し、体系的に取り組まなければ、「利用者本位」の原点を見失うと考えるようになりました。その結果が「援助者本位の支援」になりがちな体質から「利用者本位」の支援にシフトし研修制度、考課制度の導入になるわけです。要は、一人ひとりを見失わない支援を追及していこうということです。

 

 充実した研修制度と人事考課制度の中での評価について、お聞かせください。

 

 人事考課制度は、組織が期待する職員の役割の理解と行動について、定められた基準を基にして観察と分析を行い、様々な評価ポイントから判断することになります。その過程はPLAN(計画)、DO(実施)、CHECK(確認)、ACTION(改善)というサイクルから職員一人ひとりについて評価します。
 この人事考課制度の評価基準の一つとして、研修制度の実施状況と研修の効果測定を導入しています。
このように人事考課制度と研修制度を組み合わせた仕組みを構築し、運用することで、組織の基本理念(利用者本位等)の実現につながるよう人材の育成に努めています。

 

(3)職員のスキルアップ

 

 人事考課制度の中で研修の受講効果の評価について、どのようなポイントがありますか。

 

 人事考課制度は自己評価から始まり、考課者との育成面接で終了しますが、このシステムを年に2回繰り返すことで風通しもよくなり、「組織の求める人材イメージ」が作られ定着につながっていくと考えております。被評価者は10項目の考課項目の理解度に加え、2項目の振り返りと、5項目の設問を設け現在の仕事のやりがい、仕事でうまくいってないことや、悩んでいること、自己アピールなどを記述してもらうことで普段の業務のなかでは把握できないことも見えてきます。自身の振り返りと評価者との距離をつめる効果も生まれ、育成面接は現場の声が伝わる大事な機会となっています。
 一方、研修制度は3領域で構成されており、一つは、職務を通じての研修(OJT)二つ目は、職場を離れての研修(OFF−JT)そして自己啓発研修(SDS)となっています。
 特に、SDS(自己啓発目標)にいたっては、職員全員が1年間の個別目標にチャレンジし、モニタリング、評価と流れていきます。また、「利用者本位の支援」は利用者のことを知ることから始まりますが、知るために研修支援室では一貫したテーマで年3回に分け1回の研修を2日間用意し全員が受講できるよう工夫もしております。

 

 研修の計画から結果までの流れについて教えてください。

 

 自己啓発研修でいえば、4月末に当該年度の評価と新年度の研修目標を所定の様式で職場長に提出してもらいます。職場長は、研修目標に対して、相談、アドバイスなどを講じ、組織として側面的な支援の有無を検討し、組織としてできることの要否を検討した後、研修支援室に提出します。9月にはモニタリングを行い、3月には1年間の研修履歴表に自己研修記録を記載し評価表と一緒に職場長経由で提出するというフローになっています。
 他の研修については各事業所が年間研修計画に基づいて実施し、法人の情報共有システムに乗せ年間研修計画実績表に入力していきます。

 

 研修を継続して、理解度を深めていこうっていうことが大切なことと捉えているのですね。

 

 「利用者本位の支援」を追及していくためには、先ほども触れましたが、利用者を知ろうということです。そのためには「学ぶ」「実践する」「振り返る」その繰り返しから利用者への姿勢も「変わる」という具体的な行動に反映されていくと考えております。

 

 法人全体として研修への出席した時の各現場の仕事の配慮はどのように取り組まれていますか。

 

 勿論、研修に参加することで、現場が止まることは避けたいところですので、研修支援室では多くの職員が出席できる企画を検討し迅速に研修情報を提供することを基本にします。各事業所では、当該日の行事等の日程調整及び勤務調整等を図りながら、支援の体制に支障のないよう工夫が必要です。また、研修に派遣する場合であっても、各事業所では、前月の全体会議までに研修日程を把握し、勤務調整、職員の不在時の日課調整事項などを終えることが大切です。

 

 現在、法人全体で関心の高いテーマはありますか。

 

 年度の当初、職員に「アンケート」を出し、その集約結果を検討しております。ちなみに、平成26年度は「発達障がいについての理解」でした。また、法人では、コミュニケーションについて困難度の高い方を支援する状況が多いこともあり、手話、指文字などの学習の機会を求める方も少なくありません。単発に開催された講習会が現在、法人内に「手話」サークルを誕生させ活動しているケースもあります。

 

 その他、研修を受けやすい環境づくりについて取り組んでいることはありますか。

 

 介護福祉、社会福祉士、精神保健福祉士などの資格取得について、北海道民間共済会の補助と法人から独自に補助を出しております。また、福祉に関する資格を取得のために業務を休む場合は、特別休暇を設けております。

 

(4)若い世代への育成について

 

 法人として障害者を対象とした施設や事業を中心に展開されていますが、地域の方々や子ども達との交流はありますか。

 

 法人内でパンの製造販売を行っていますが、毎年、地域の小学校の生徒さんへ働きかけ、利用者と一緒にパン製造を経験するという取り組みを行っています。
 また、ここ2〜3年休眠状態ですが児童福祉施設体験学習という取り組みでは、施設に地域の子どもが入所児童と1週間程度宿泊し、子どもたちとの交流活動を行うといことも長く取り組んでおります。

 

北海道福祉人材センター
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