入浴の効果と留意点
おじいさんの入浴のイラスト 入浴は血行をよくしたり、身体を清潔に保つという効果の他に、ゆっくりとお湯につかることでリラックスできるという効果もあります。しかしその反面、転倒や火傷、溺れるなどの危険も伴います。また、介護者にとっては、狭く高温多湿の浴室で行なう入浴介護の負担は多きなものです。
 そこで福祉用具を効果的に活用したり、住宅改修により、介護負担を軽減し、同時に介護を必要とする方が安心して快適に入浴できる環境を整えることができます。  そこで福祉用具を効果的に活用したり、住宅改修により、介護負担を軽減し、同時に介護を必要とする方が安心して快適に入浴できる環境を整えることができます。  ただし、どれほどの環境を整えても、実際に入浴する方の気持や、血圧・病気等の状況について、十分に配慮する必要があります。

望ましい入浴のかたち
理想的な浴槽 様々な形をした浴槽がありますが、お年寄りや障害を持つ方にとって望ましい浴槽の形は、次のようなものです。イラストの図も参考にしてください。
深さは60cm程度で、3分の1の埋め込み式
(縁は浴室の床から40cmほどの高さ)
浴室内の底面の角が直角
縁の厚さ5cm以下
幅は55〜66cm×80〜90cm程度
 これらの要素は、浴槽への出入りのしやすさ、浴槽内での姿勢の安定、縁のつかまりやすさ等に関わってきます。
 もしこのような形ではない場合でも、福祉用具を活用することである程度の改善は可能です。
 またお年寄りや障害のある方に配慮したユニットバスもあり、今は必要なくても、家の新築・増改築等の際にはあらかじめそのような浴室を整えておくのもひとつの方法でしょう。

入浴と福祉用具
〜シャワーチェア・バスボード〜
バスボード シャワーチェアには大きく分けて二つのものがあります。一つはキャスターや車輪がついていて寝室から浴室の移動等に使用できるもの(シャワーキャリーとも呼ばれます)で、もう一つは車輪等はついていないのですが、その分コンパクトで狭い浴室の場合に適しているもの(シャワーベンチとも呼ばれます)です。
 また座面が回転したり、座面の中央部分がくぼんでいたり、体を洗う介助の労力を軽減する工夫をしたものもあります。
 シャワーチェアを洗濯する際には、座面の大きさや背もたれの有無、座面の高さを調整できるか等を基準にするとよいでしょう。シャワーチェアを選択する際には、座面の大きさや背もたれの有無、座面の高さを調整できるか等を基準にするとよいでしょう。シャワーチェアの座面の高さを浴槽の縁と同じ高さ(40cm程度)にしておくと、浴槽に入る動作がしやすくなります。
 浴槽に入る動作をしやすくする点では、入浴台やバスボードも同じ効果が得られます。


〜てすり〜
 浴室内では、つかまるところがなかったり、つかまることができても蛇口やタオルかけなど強度が十分ではありません。一体型のユニットバスに設置できる手すりもありますが、これはユニットバスの壁面に吸盤と樹脂により強力に接着させるものです。きちんと施工していれば接着力については余り心配がありませんが、壁面の強度が不十分だと壁ごとはずれてしまう危険性もありますので注意が必要です。
 また浴槽の縁を挟み込んで取り付けるバスタブ用の手すりもあります。このような手すりの場合、突然外れると危険なので、毎回、挟み込むためのつまみやネジ等がきちんとしまっているか確認するようにしてください。なお、手すりをつけたたま浴槽にふたをできるものと、手すりをつけたたまだとふたと縁の間にすき間が空いてしまうものがありますので、ひとつの選択の基準にしてください。


浴槽台〜すべりどめマット〜
 浴 室内の床や浴槽の底はぬれると滑りやすくなることが多くあります。この場合、滑り止めのマットを使用することで転倒の危険を防ぐことができます。
 滑り止めマットには、吸盤によりマット自体が浮いたりすれたりしないようにしたものや、ジョイント式で小さなマットを組み合わせて容易に大きさを調整できるものがあります。ただし、洗い場の床にしくためのもの、浴槽内にしくためのもの、という用途を限定している場合が多いので、購入の際には気をつけてください。

その他の福祉用具
 脱衣場と浴室内の段差を解消したり、浴槽の縁が高すぎる場合などは、すのこを利用することで段差の解消や理想的な縁の高さに近づけることができます。また、介助の負担も軽減されます。導入に際しては、人体を吊るすのに十分な強度が得られるか、スムーズに移動できるか(できれば脱衣場から浴槽に入るまで移動できるものがよいでしょう)等、可能であれば建築士等の専門の方に加わってもらって検討してください。

Copyright (C) Hokkaido Care Practice Spread Center