身支度・整容について
 靴 下を履く際にかがむ動作が困難な場合、靴下エイドがあります。これは、棒やひもの先に靴下をとりつけられるようになっているもので、靴下をとりつけた方を足もとに置き、他方を引っ張ることで靴下を履くものです。同様のものでストッキングエイドがあります。
 また、ボタンをかけることが困難な場合、棒の下に針金のついた、ボタンエイドがあります。この針金部分を先にボタン穴にとおし、針金部分でボタンをひっかけて引っ張るとボタンをかけることができます。ボタンについては、このような福祉用具をつかわなくても、例えばボタンをマジックテープに付け替える等により着替えは楽になります。
 腕をあげる動作が困難で、通常のブラシやくしでは髪をとかすことができない場合、柄の部分を長くしたブラシ・くしがあります。また柄の部分を太くし握りやすさにも配慮したものもあります。また身体を洗う際に柄の長いボディーブラシ等を利用するのも便利です。
おじいさんが自助具を使い食事しているイラスト

食事について
 食 器については、「食事」のテーマの際にも紹介していますが、握りやすいスプーンや、すくいやすい皿、滑り止めマット等を利用することにより、自分で食事をとることが出来るようになる場合も多くあります。
 調理に関する用品にも工夫をしたものがあります。きゅうりや大根など丸いものは片手で押さえていなければ、なかなか切りにくいものです。まな板に食材量を固定するための工夫(万力のように挟む、数本の突起がついておりそこに材料を差し込む、等)がしてあるものがあります。また、ビンのふた(ネジ式)を開ける時に、片手しか自由に動かせなかったり、両手を動かすことはできても握力が弱い場合などは、ひねる(まわす)という動作が難しくなります。このような状態には、片手でふたを回しやすくするためにビンを固定する固定具を利用したり、ペットボトルなどの小さなふたでもその上から滑りにくい素材でできた円盤状のもの(キャップオープナー)を被せることで、片方の手だけや弱い握力でもふたを開けやすくなります。
 福祉用具として売られているものではなくても、万能スライサーなどは誰にとっても便利に使える調理用品といえます。

生活全般について
 床 に落ちたものを拾う際など手の届きにくいものを取るには、リーチャーという道具を使うと便利です。リーチャーは棒の片方が手で握るよう(グリップ)になっており、これに連動して他方で物をはさむようになっているものです。物をはさむ部分に磁石がついていたり、角度を変えられるものもあります。
 高齢等により物忘れがひどくなった場合、例えば、タンスのどの引き出しに何をしまったのか思い出せずに困ることがあります。シャツや靴下等のイラストのついたシールが市販されており、これを引き出しに貼っておけば、一目で何がどの引出しに入っているのかわかります。このシールは貼ってもきれいに剥がすことができ、何度でも貼りなおすことが出来るので、タンスを汚す心配も無く、衣類を入れる場所をかえてもシールを貼りなおすことができます。

選定のポイント
 自助具という種類の福祉用具は、生活全般にわたっているものなので、様々な種類があります。また福祉用具として売られているもの以外にも、誰が使っても便利な道具もたくさんあります。選定のポイントについては一概には言えないのですが、使う方の身体の状態や使う環境(調理用品の場合、立った状態なのか、車いす等に座った状態なのか、等)によって適したものを選ぶ必要があります。  使う方に適した道具を入手することができれば、その方の生活の範囲は広がります。また今まで必要だった介助も少なくなり、介助者の負担の軽減にもつながることでしょう。

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