介護保険制度が円滑に実施されるためには、元気な高齢者や何らかの支援があれば自立した生活を送れる高齢者の方やその家族に対し、寝たきりなどの要介護状態に陥ったり、状態が悪化することがないようにすること(介護予防)や、自立した生活を確保するために必要な支援を行うこと(生活支援)が重要です。
 そこで、今回は各市町村で行われている「介護予防・生活支援事業」について紹介したします。
 なお、事業の実施状況や具体的な実施方法、金額などにつきましては、実施市町村により異なりますので、詳しくはお住まいの各市町村役場や在宅介護支援センターなどにお問い合わせください。


配食サービス事業
 調理が困難な高齢者のお宅を定期的に訪問して、栄養のバランスのとれた食事を提供するとともに安否の確認を行います。
 利用できる方は、65歳以上のひとり暮らし、高齢者のみの世帯などで、老衰、心身の障害および傷病などの理由により調理が困難な方です。

外出支援サービス事業
 65歳以上の高齢者の方で、一般の交通機関を利用することが困難な方に対し、移送用車輌(リフト付車輌、ストレッチャー装着ワゴン車など)により、その方のお宅と在宅福祉サービスや介護予防・生きがい活動支援事業を提供する場所、医療機関などとの間を送迎します。
 また、60歳以上の高齢者の方で、下肢が不自由な方に対し、ショッピングセンターなどでの移動支援のための拠点を整備し、各種情報の提供や電動スクーター、車いすの貸出などを行います。

軽度生活援助事業
 65歳以上のひとり暮らし、高齢者の方のみの世帯などで、日常生活上の援助が必要な方に、軽易な日常生活上の援助を行うことにより、在宅のひとり暮し高齢者の方などの自立した生活の継続を可能にするとともに、要介護状態への進行を防ぎます。
外出・散歩の付き添いなどの外出時の援助
宅配の手配、食材の買物などの食事・食材の確保
寝具類など大物の洗濯・日干し、クリーニングの洗濯物の搬出入
庭・生垣・庭木など家周りの手入れ
家屋の軽微な修繕、電気修理などの軽微な修繕など
家屋内の整理・整頓
朗読・代筆などの多少目が不自由な方に対する援助
雪下ろし、除雪
台風時など自然災害への防備
健康管理に関する助言など
栄養管理に関する助言など
その他在宅のひとり暮らし高齢者などの生活支援に資する軽易な日常生活上の援助

住宅改修支援事業
 高齢者向けに居室などの改良を希望する方に、住宅改修に関する相談・助言を行うとともに、介護保険制度の利用(住宅改修費)に関する助言を行います。
住宅の改良に関し、保健婦、理学療法士、作業療法士などが利用対象者のお宅を訪問するなどにより、家屋の構造、高齢者の身体状況及び保健福祉サービスの活用状況などを踏まえて相談に応じ、助言します
施工者の紹介及び改良内容についての 業者への連絡、調整を行います
施行後の評価及び利用対象者に対する 指導を行います
その他、住宅改良が円滑に行われるよう関係機関との連絡調整を行います

高齢者共同生活(グループリビング)支援事業
 60歳以上の高齢者の方であって同一家屋内で食事など、お互いに生活を共同で行うことができる方が、加齢による身体機能の低下を補うため、共同で生活している形態(グループリビング)に対して支援します。利用定員は五人から九人です。
 支援内容としては、グループリビングに対する支援プログラムの作成・調整を行います。また、近隣住民やボランティア団体による各般の支援体制の構築を行います。

その他に、寝具類等洗濯乾燥消毒サービス事業訪問理美容サービス事業があります。

介護予防事業
 高齢者の方ができる限り介護状態に陥ることなく健康で生き生きとした老後生活を送れるよう支援する観点から、介護予防教室などを開催します。
転倒骨折予防教室(寝たきり防止事業)
 転倒骨折予防教室を開催し、生活相談、健康診断、生活指導、運動機能訓練などを行います。また、転倒骨折予防ケアのための生活環境・習慣の改善を行います。
アクティビティ・痴呆介護教室
 音楽活動、絵画、書道、演劇などのアクティビティサービスを行います。また、軽度の痴呆性高齢者の方およびその家族の方に対し痴呆介護教室を開催します。
IADL(日常生活関連動作)訓練事業
 炊事・洗濯などの家事訓練を中心とした教室、自立支援教室を開催します。また、生活環境・習慣の改善を行います。
地域住民グループ支援事業
 ボランティアで、介護予防に資する活動を行おうとする地域住民に対する場の提供などの支援、住民の自主グループ活動育成支援を行います。また、地域住民による定期訪問活動を行います。

生きがい活動支援通所事業(生きがいデイサービス事業)
 60歳以上のひとり暮らしの高齢者の方などで、家に閉じこもりがちな
方を対象に、デイサービスセンターなどにおいて、利用される方の希望
や身体の状況に応じた趣味活動、スポーツ活動、日常動作訓練などを
行います。

生活管理指導事業
 基本的な生活習慣ができていなかったり、対人関係が成立しないなど、いわゆる社会適応が難しい高齢者の方に対して、その方のお宅を訪問したり、特別養護老人ホームなどに短期間の宿泊をすることにより、日常生活に対する指導、支援を行い、要介護状態への進行を予防します。
その他に、高齢者食生活改善事業運動指導事業があります。

家族介護教室
 高齢者の方を介護している家族の方などに、介護方法や介護予防、介護者の健康づくりなどについての知識、技術の習得を目的とした教室を開催します。

介護用品支給事業
 介護保険の要介護度四または五に相当する在宅の高齢者の方で、市町
村民税非課税世帯の高齢者の方を介護している家族の方に対し、介護用
品(紙オムツ、尿取りパッドなど)を支給し、家族の負担軽減を図ります。

家族介護者交流事業
 高齢者の方を介護している家族の方に対し、介護から一時的に解放し、
宿泊・日帰り旅行、施設見学などを活用した介護者相互の交流会に参加
するなど、心身のリフレッシュを図ります。

徘徊(はいかい)高齢者家族支援サービス事業
 徘徊のみられる痴呆性の高齢者の方を介護している家族の方に対し、痴呆性高齢者の方が徘徊した場合に、早期に発見できる仕組み(携帯電話やPHSなど)を活用して、その居場所を家族などに伝え、事故の防止を図るなど家族が安心して介護できる環境を整備します。
その他に、家族介護者ヘルパー受講支援事業家族介護慰労事業があります。

 高齢者の方が家庭、地域、企業など社会の各分野で、豊かな経験と知識・技能を生かし、地域の各団体の参加と協力のもとに、高齢者の生きがいと社会参加を促進するとともに、家に閉じこもりがちなひとり暮らし高齢者などに対し、様々な施設を活用し、通所により各種サービスを提供することにより、社会的孤立感の解消および自立生活の助長を図ります。

 ひとり暮らしの高齢者の方などの急病や災害などの緊急時に迅速かつ適切な対応を図るために次の事業を行います。
近隣住民、ボランティアなどに対する普及啓発活動
近隣住民、ボランティアなどであって安否の確認や、緊急時の対応など必要な措置をとることができる方(協力員)の確保

 高齢者の方の寝たきり状態を予防するための保健事業を始めとする各種施策をより効果的に展開するために、地域の高齢者の方やその家族の方などに対して、「寝たきりゼロへの十か条」の広報など積極的な普及啓発活動などを行うことにより、寝たきり予防対策の一層の推進を図ります。
その他に、成年後見制度利用支援事業健やかで活力あるまちづくり基本計画策定・普及啓発推進事業があります。

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